#西村駅伝 高校生ランナー密着企画。
今回は1年ぶりに長野県にある佐久長聖高校にお邪魔しました。
先週は佐々木哲選手のインタビューをお届けしましたが、今週はチームのキャプテンを務めた濱口大和選手編です。
濱口選手に取材をするのはちょうど一年ぶり。
取材前に濱口選手がさらに大人っぽくなった姿に私が驚いていると、
「そうなんです。髪が伸びて色気づいています」
と場を和ませてくださいました。
そんな濱口選手は1年生から都大路に出場するなど下級生の頃からチームの主軸として活躍。
5000mの自己ベストは13.31.62。
2年次にはベオグラード世界クロカンにU20日本代表に選出し、世界の舞台を経験。
3年生ではインターハイ長野県大会で1500m、5000mと中距離長距離で優勝をする2冠を達成。
駅伝だけでなく、トラックでも世代トップクラスの活躍を遂げた濱口選手に、今回のインタビューでは高校3年間の振り返り、そして大学で描く未来をお聞きしました。
ぜひ最後までご覧ください。

質問内容はこちら。
・1年、2年、3年、それぞれの振り返り
・一番悔しかったレース
・進路を中央大学に選択した理由
・大学での目標
まずは1年生。
この年は、上半期に徳島インターハイでの出場を目標にしていて、なんとか出場を掴み取ったものの、決勝進出、入賞を目指していた中で結果は予選落ち。
高校陸上の難しさに直面した一年だったとお話しされていました。
駅伝シーズンでも、都大路では1年生ながら出場を果たし、2区で区間2位(区間賞とは1秒差)の好成績を残せたものの、区間賞を取れなかった悔しさがあり、高校デビュー戦はうまくいった部分と悔しさも残る一年だったようです。
続く2年生。
上半期に関しては、インターハイ2種目入賞(5000m 8位、1500m 4位)するなど納得のいくシーズンだったとお話しされていました。
その後の駅伝シーズンも、都大路では4区で区間2位、伊那駅伝では6区で区間賞とこちらも順調な結果ではありますが、本人曰く「駅伝シーズンはふるわなかった」とのこと。
都道府県対抗駅伝でも1区を走り、区間新記録を樹立したものの、区間4位で「パッとしない結果だった」と自分への評価は少し厳しめの様子でした。
3年間を通して一番悔しかったレースを伺ったところ、帰ってきた答えはベオグラード世界クロカン。
日本選手権クロカンで優勝し、「世代トップ」と言われてきた中、出場した世界クロカン。
初めての海外レースで、世界のランナーのレベルの高さを実感し、思うような結果が出なかったことがかなり精神的にダメージになったそうです。
スパイクで走っている中、横を裸足で走っている選手に抜かされ、「ここまで差があるのか、、、」と世界との実力の差を目の当たりにするなど悔しさが残る大会だったとのこと。
そんな悔しさを乗り越えて、迎えた最終学年3年生。
前述のとおり、3年次は福岡インターハイ、長野県大会では中長距離で2冠を達成。
トラックとロードの見事な両立が見せた上半期だったのかなと思いきやチームメイトの佐々木哲選手と比較し、「ロードに関しては佐々木のほうが強かった」と少し悔しさを感じている様子でした。
また3年次ではキャプテンを務めることになった濱口選手。
個人だけでなくチーム全体を考える立場になり、また違った悩みも出てきたそうです。
昨年度の佐久長聖高校は、都大路王者として圧倒的な実力を見せ、外から見たら順調そうに思えていたのですが、内部的にはうまくいかなかったことが多くあったとのこと。
まずは2024年の伊那駅伝。優勝を目指していた中で、洛南高校に離され2位。
続くインターハイでも、目立った活躍を見せたのは濱口選手と佐々木選手のみ。
2人のエースが強さを発揮しても、高校駅伝は出走する7人の走力がないと勝ちに行くことはできない。
チームとしてどう変えていくか、どのように底上げをしていくかをキャプテンとして考えることが多かったようです。
また、昨年度は濱口選手と佐々木選手が大会の遠征等でチームを離れることも多く、キャプテンと副キャプテンでありながらチームを近くで見ることのできないもどかしさがあり、「この1年間の佐久長聖は自分たちが引っ張ったというより3年生全体が引っ張ってくれた」と仲間への感謝の思いも告げていました。
ちなみに、佐々木選手とは大会の遠征のホテルで同部屋だったことが多く、二人での会話はもっぱら「佐久長聖のチーム状況について」だったようです。
キャプテンと副キャプテンの活躍、そしてチームはしっかり駅伝シーズンに合わせ調子を上げて迎えた昨年の都大路。
濱口選手が任された区間はエースが集まる1区。
1区を走ることが決まった時の心境を伺ったところ、「過去、チームのエースが走ってきた区間だからこそ、先生たちに認められた気がした」と嬉しさを露わにしていました。
当日のレースプランについては、
「八千代松蔭高校の鈴木琉胤選手(早稲田大学、1年)がハイペースの展開を作ることは想定していた」とのこと。
そのため、5キロ過ぎで鈴木選手との差が出た時も焦ることなく、大牟田高校、仙台育英高校との差を重要視し、冷静に自分のペースで刻むことに徹したそうです。
結果は区間4位という上位で2区へと襷を繋ぐことに成功しました。
高校での駅伝では、常に安定した成績を残した濱口選手。
大学へ行っても、持ち前の安定感で活躍してくれることかと思います。
そんな世代トップクラスの活躍を見せた濱口選手が進路として選んだのは中央大学。
決め手は、「世界に羽ばたく選手になる準備ができる場所だと感じたから」
中央大学は海外のレースや海外遠征も多いため、場数を多く踏める環境に身を置けることに魅力を感じたそうです。
大学へ入ったら、前半シーズンはまず5000mに力を入れて、ユニバーシアードやアジア選手権で優勝を狙いたいとお話ししてくださいました。
そんな濱口選手が箱根駅伝で走りたい区間は1区。
「吉居大和選手(トヨタ自動車、仙台育英)や吉居駿恭選手(4年、仙台育英)など、中央大学は1区で逃げ切るかっこいい姿が印象的なので、1年生で1区を走り、区間賞を狙いたい」と胸を高鳴らせていました。
この西村駅伝では、濱口選手に3回取材をさせていただきました。
初めて取材をした1年次の濱口選手はとても緊張されていて、共に取材をした2つ上の先輩、吉岡大翔選手(順天堂大学3年)などの先輩の後ろで緊張で固まっていたのが印象的でした(笑)
そんな濱口選手が学年を上げていくたびに、頼もしい先輩になっていく姿が、嬉しいような少し寂しさすらも感じました。
ぜひ皆さん、1年生や2年生のときに取材した記事もチェックしてみてくださいね。
濱口選手、卒業式直後でお忙しい中、今回もインタビューに応じてくださり本当にありがとうございました。
伝統の白地に赤のCが描かれたユニフォームを着て、活躍する姿を陰ながら応援しています。