#西村駅伝 スピンオフ企画
サンベルクスに所属し、プロランナーとして活躍している吉田響選手のインタビュー記事、後編をお届けします。
ぜひ、前編も合わせてご覧ください。

創価大学に転籍し、新たな陸上人生をスタートさせた吉田選手。
転籍した3年生では出雲駅伝、全日本大学駅伝では5区を走り、区間トップ相当のタイムで走り切る活躍を見せ、一気に陸上界に存在感を残しました。
続く箱根駅伝でも5区に抜擢され、途中低体温症に襲われながらも、区間9位の走りを見せました。
区間9位ももちろん立派な順位ではありますが、
山の神への思いが人一倍強かった吉田選手は、この大会が1番悔しく、そして学生時代で1番辛かったレースになったそうです。
山の神への挑戦は、残り1回。
1年後、4年生となって迎えた箱根駅伝で、世間では5区を走るであろうと予想されていた吉田選手ですが、、
当日、吉田選手がエントリーされたのはまさかまさかの花の2区。
どういった経緯で、2区を走ることになったのか、吉田選手に聞いてみると、実はこの2区は最終的に自分から志願したとのことでした。
ずっと山の神を目指して練習を続けてきた吉田選手。
そんな中、11月の全日本大学駅伝終わりに、監督から「箱根では2区を走った方が、今の響なら(いい成績で)走れるのではないか」と2区の打診があったそうです。
ですが、8月の夏合宿なども5区に向けた個人の練習メニューなども行っていたため、そう簡単に気持ちを切り替えることは難しく、やはり山の神を諦めきれない思いがあった吉田選手。
しかし、様々なことを考えていく中で、「個人としての目標」よりも、「チームとして勝ちたい、みんなで夢を叶えたい」という思いが強くなり、11月中旬頃に2区を走る決意を監督に告げたようでした。
レース当日、数多くのチームのエースが集まった花の2区。
吉田選手の結果は区間2位、2区日本人最高記録を叩き出す有終の美を飾りました。
ですが、この結果に関して、ご自身は、「嬉しいけれど、嬉しい!とは言い切れない」とのこと。
「リチャード・エティーリ選手(東京国際大学、3年)に負けたしまったことと、黒田朝日選手(青山学院大学、4年)と1秒差だった」と若干の悔しさが残っている様子で、ストイック且つ謙虚な姿勢がここでも見受けられました。
(それにしても、2区で日本人最高記録は凄すぎる偉業です…)
目指していた山の神にはなれなかった吉田選手ですが、今の大学生で山の神に1番近い選手を聞いたところ、返ってきた答えは早稲田大学の工藤慎作選手(3年)。
「走りを見ていても、すごく伸びそうな雰囲気がある」と、工藤選手に期待を寄せている様子でした。
転籍という異色の経験をした吉田選手に改めて、創価大学で学んだことを聞いてみると、
いろんな人のおかげで自分という選手が成り立っていて、瀬上監督のおかげで創価大学に転籍するご縁ができたことを振り返り「改めて人と人との繋がりの大切さを学べた」と周りへの感謝の気持ちを告げていました。
そんな吉田選手はこの春大学を卒業し、サンベルクスに所属しながらプロランナーとして競技を続けています。
現在の大きな目標は、フルマラソンでオリンピックに出場し、メダルを獲得すること。
直近では東日本実業団駅伝で区間賞を取ることを一つの指標にし、練習に励んでいるそうです。
ニューイヤー駅伝に向けても、かなり意欲を見せていて3ヶ月後の年明けにサンベルクスのユニフォームを着て新春の上州路を駆け抜ける吉田戦が見られると思うと、すごく楽しみになりました。
私が吉田選手にインタビューをしたのはこれで2回目。
1回目は文化放送さんの番組の取材で創価大学に訪問させていただいたのですが、その時から吉田選手はずっと謙虚で優しい人柄です。
例えば創価大学の陸上部の寮は電車の駅から離れているためバスに乗らないといけないのですが、取材が終わったら、わざわざ取材陣が乗る帰りのバスの時間を調べてくださり、バス停の場所も丁寧に教えてくださいました。
今回の取材でも、吉田選手の口から度々出ていたのは周りの方々への感謝の言葉。
大学駅伝でこれだけの成績を残されているのに自信過剰になったりすることは決してなく、どんな時でも低姿勢で謙虚で周りの方への感謝を忘れない吉田選手の人柄に終始感銘しました。
現在は駅伝やマラソン、トレイルランニングに注力している吉田選手の今後の活躍に期待したいと思います。
吉田選手、そして関係者の皆様、お忙しい中、取材に協力してくださりありがとうございました。
吉田響(よしだひびき)
2002年8月20日生まれ、静岡県出身。
東海大学附属静岡翔洋高校卒業後、東海大学へ進学。2年生で退学し、創価大学へ編入。
現在はサンベルクスに所属し、プロランナーとして活躍。
5000m:13分39秒94
10000m:28分12秒01
ハーフマラソン:1時間01分45秒
第101回箱根駅伝 2区日本人歴代最高記録