「駅伝に詳しすぎるアイドル」 西村菜那子 が、駅伝や陸上競技の楽しみ方を独自の切り口で提案していくWEBマガジン

高校生ランナー密着

須磨学園密着レポート ①山口哲監督インタビュー編

第二弾は今年の「春の高校伊那駅伝」で見事優勝に輝いた須磨学園男子陸上競技部へ訪問いたしました。

私は今年の伊那駅伝で、番組応援サポーターに就任し、大会当日は番組にゲスト出演させていただきました。レースを見て、須磨学園のチームの総合力、安定感に感服し、ぜひとも取材でお話を伺いたい!と放送終了後にマネージャーと相談。すぐにオファーの文章を作っていただき、ダメ元で須磨学園にメールで問い合わせさせていただきました。

とはいえ、ほんっっとにダメ元だったので、
「まあ、、多分断られるだろうなぁ、、」と弱気な私たちでした。

ですが後日須磨学園からまさかの取材OKの連絡が、、、!
すぐさま須磨学園がある兵庫県へ向かいました!

須磨学園

須磨学園高等学校

須磨学園高校は、神戸市須磨区にある私立高校。併設混合型中高一貫校に分類される。部活動では、女子の陸上競技部が2003年と
2006年に全国高等学校駅伝競走大会で優勝。また、弓道部は、女子が全国高校選抜大会女子団体で優勝するなど、クラブ活動も盛ん。
出身の有名人としては、元陸上競技長距離走・マラソン選手の松尾和美氏がいる。
須磨学園陸上競技部

須磨学園高等学校陸上競技部

2009年に全国高校駅伝初出場し、5度の出場、3度の入賞実績を誇る強豪校。春の高校伊那駅伝2023では男子が初優勝を飾った。

春の高校伊那駅伝は、毎年100チーム以上が参加する高校駅伝屈指の大型大会。
今年も男子は130チームがエントリーし、伊那路を駆け抜けていきました。

今回は、このような熾烈なレースを見事勝ち抜いた須磨学園の陸上部の秘密に迫ってまいります。

須磨学園密着レポートは、
①山口哲監督インタビュー編
②選手インタビュー編第I弾
③選手インタビュー編第2弾
④全選手アンケート編
の4つに分けて公開していきます。

今回取材を引き受けてくださった須磨学園、および関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
まず本日は山口監督のインタビュー編をお届けします。

指揮官の山口監督から見る須磨学園陸上部について、そして大切な選手への想いを存分にお聞きすることができました。
インタビュー全編は記事後方に動画がございますので、みなさんぜひ最後でご覧ください。

まずインタビューでお聞きした質問内容はこちら。

◆伊那駅伝に優勝したときの率直な思い。
◆伊那駅伝の勝因。
◆山口監督が選ぶチームのMVPランナー。
◆昨年の都大路不出場から、伊那駅伝当日までの4ヶ月、選手へのモチベーションを保つために日々監督が行っていたこと。
◆須磨学園ならではの強み。
◆ずばり、1番意識している(ライバル)高校。
◆高校生をどんなランナーとして、そして人としてどんな社会人に育てていきたいか、指導する上で心掛けていること。
◆今年度のチーム目標。

最初に伺ったのは、伊那駅伝で勝利を勝ち取った時の率直な思いです。
出場選手全員が区間一桁台で走り、総合力で優勝を成し遂げた須磨学園。これには山口監督も「選手たちは期待通りに走ってくれた」と納得の様子でした。
一見、完璧なレースだったかのように思えましたが、次に監督の口から出たのは意外な言葉。

「選手たちは期待通りに走ってくれた、が、同時に期待通りに見えた課題があった」

今回の勝因として、監督が述べていたのは、「他校があまりベストオーダーを組めていなかったこと、全体的に留学生のエントリーが少なかったこと」。その中で、須磨学園は現時点でのベストオーダーを組むことができたのは良かったものの、まだまだスタミナに関しては課題が残る大会だったようです。全国の頂点に立ったのにも関わらず現状に満足せず、監督は至って冷静の様子でした。

このインタビューで1番印象深かったのは、「須磨学園ならではの強み」を聞いた時のこと。

山口監督はその問いに対し、

「寮がなく、部員全員が実家暮らしであること」とおっしゃいました。

多くの高校陸上競技校には、寮が存在し、他県から様々なランナーが通うことのできる環境に整っています。しかし、須磨学園には寮というものが存在していません。部員全員が関西地区に住んでいて、実家から須磨学園へ通っています。
なぜ実家暮らしであることが須磨学園の強みなのか。
監督は穏やかな口調でこう答えました。

「彼らたち(部員)の最大の監督、コーチは間違いなくご家族です。1番彼らのことを理解しているご家族のもとで3年、高校生活を過ごせることが最良であり、須磨学園の強みです」

もちろん親元を離れて、陸上に集中することも、素晴らしいことに変わりありません。きっと、家族の期待を背負って離れた場所で頑張る利点も多くあるかと思います。しかし、山口監督のお言葉を聞いて、すごくしっくりきた私がいました。自分に置き換えてみても、私のことを1番よく知っているのは間違いなく両親です。言葉にしなくても、顔色ひとつ見るだけで、自分の全てを察することができるのは私にとって、この世に両親しかいないことだと思います。

自分の話になり恐縮ですが、私が一人暮らしを始めたのはNGT48に加入した高校3年生のときのこと。
そこから7年間親元を離れ、新潟県で暮らし、昨年グループを卒業し、実家へ戻ってまいりました。

7年前は分からなかったけれど、私の精神的な小さな変化に気づいてくれる両親のありがたさを実感している日々であります。

自分の1番の理解者が近くにいてくれる環境がどれだけ心強いことか。

「選手の1番の監督は親御さん」というワードは私の中でとても心の中に響き、そう表現する山口監督自身にも指導者としての魅力を感じました。インタビューを通しても、終始山口監督は親御さんへの感謝の気持ちを綴っておられました。

もう一つ、監督が度々口にしていた言葉がありました。
それは「考える力」です。

こちらは、監督の指導をする上で心掛けていることの質問でお聞きしたのですが、監督の指導モットーは3つの考える力をつけること。

①未来を考える力
②課題を考える力
③最善を考える力

これを高校生にわかりやすく伝わるよう、噛み砕いて

未来を考える力=思いやり。
課題を考える力=たくましさ。
最善を考える力=直向きさ。

と説明しているそうです。そのため、部員の進路も監督は自身の意見を生徒に押し付けるようなことは一切せず、もちろん困っていたらサポートはするものの、生徒が3年間培ってきた「考える力」を活かすことに徹しているようでした。

監督が最後におっしゃっていた
「考える力を持って、陸上人生に限らず、究極を言えば幸せになってほしい」という言葉。

今回山口監督からお話を伺い、須磨学園の強さは、1番の監督である家族のもとから学校に通い、考える力を身につけさせてくれる指揮官の存在が大きいことに気づきました。
素敵なお話を聞かせてくださった山口監督に心から感謝申し上げます。

次の記事では、伊那駅伝を走ったランナー編をお届けします。
ぜひご覧ください。

須磨学園密着レポート 山口哲監督インタビューはこちら↓

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