本日は後編をお届けします。
東京マラソンという大きな舞台に挑戦したNGT48 3期生・喜多花恵さん。完走直後の心境を語るインタビュー動画からは、過酷なレースの裏側にあった葛藤、そしてそれを支えた「声」の力が鮮明に伝わってきました。
ー「30キロの壁」の正体ー
マラソン経験者が口を揃えて語る「30キロの壁」。
30キロの壁とは、フルマラソンで30km前後に急に失速したり、足が動かなくなったりする現象のことです。
喜多さんも例に漏れず、33キロ地点から、これまでにない苦しみに直面したといいます。それまでは順調に過ぎていた1キロという距離が、急に「500メートルしか進んでいない」と感じるほど長く、足が重くなる感覚。タイムも徐々に落ち、肉体的な限界が近づいていました。
ー限界を救ったのが「母の応援」ー
そんな苦しい状況を救ったのは、意外な場所からの声でした。
事前に場所を聞いていなかったにもかかわらず、沿道で懸命に声をかけるお母様の姿を見つけた瞬間、喜多さんの心境は一変したそうです。
「母に良いところを見せたい。かっこいい姿を見せたい」
その強い想いが、足を再び動かす原動力となりました。
お母様の声を聞いた瞬間、足の重さが吹き飛び、40キロ以降はレース中で最も速いペースで駆け抜けることができたといいます。
レース中盤までは、「完走しなければ」というプレッシャーや時間制限への焦りもあり、苦しい時間が続いていました。しかし、沿道からのファンの方々、そしてNGT48を知らない一般の方々から届く「頑張ってね」という途切れない応援が、次第に彼女の心を「楽しさ」へと変えていったそうです。
ゴールゲートが見えた時、喜多さんが感じたのは「達成感」だけではありませんでした。
「もう終わってしまうんだ」という少しの寂しさ。そして、さらに速いタイムを目指したいという次への意欲。
6時間2分13秒という記録とともに、彼女は「また挑戦したい」という確かな手応えを掴んでいました。
ー次なる挑戦へー
「完走できて本当によかったです」
そう笑顔で語る喜多さん。
東京の街並みを楽しみ、多くの協力と応援を力に変えて走り抜いたその姿は、多くのファンに勇気を与えたはずです。
今後は、日本各地で開催されるさまざまなマラソン大会も視野に入れながら、彼女の“走る挑戦”はこれからも続いていくことでしょう。
ーアイドルとしての目標と理想の先輩像ー
喜多さんに、アイドルとしての今後の目標を伺うと、「次のシングルで選抜に入ること」を、今一番叶えたい具体的な目標として挙げていました。
選抜とは、CDの表題曲を歌うことができる選ばれたメンバーのことです。
その場所を掴むのは簡単ではなく、ときにメンバーを悩ませる要因の一つにもなります。私自身も、選抜に入る、入らないということで悩んだ経験がありました。
今回、喜多さんがマラソンという大きな挑戦に本気で向き合い、自ら新たな一歩を踏み出した姿は、とても印象的でした。
その努力や挑戦する姿勢が多くの人に届き、選抜への後押しに繋がったら、私もすごく嬉しいです。
さらに、今後なりたいメンバー像について伺うと、
「周りのメンバーと自分を比べて悩むのではなく、マラソンのように自分から動いて新しい仕事を掴み、後輩にその背中を見せていけるような先輩になりたいです」
と話してくれました。
喜多さん自身、過去には立ち位置や活動について悩んだ経験があったそうです。そして今も、同じように悩みながら活動している後輩たちは少なくありません。
そんな後輩たちに対して、「自分が動くことで新しい道を作れる」ということを背中で示せる存在でありたい。
自ら行動し、一歩踏み出すことで周りに勇気を与えていく。そんな想いと決意が、言葉の端々から伝わってきました。
ー卒業後のビジョンー
気になる卒業後のビジョンについては、
「芸能界は引退するかな」
と、現時点での率直な心境を明かしてくれました。
アイドルとして全力で走り抜けた先に、別の人生を歩むことも視野に入れているようです。
限られた芸能人生、限られたアイドル人生。その時間を、悔いなくまっとうしてほしいと感じました。
今回、喜多さんのアイドル人生にとって大きな転機となったのが、「マラソンへの挑戦」でした。
もともと運動が得意なタイプでもなく、自分は目立つタイプではなかったと振り返る彼女。
しかし、過酷な42.195kmを走り抜いたことで、スタッフやメンバー、そしてファンの方々から多くの温かい言葉をもらったといいます。
「私でもできたんだ」
その実感が、大きな自信へと変わっていったのでしょう。
私が彼女と出会った頃、彼女はどちらかといえば口数が少なく、控えめな印象の女の子でした。
しかし、3年半という時間を経て、今ではすっかり頼もしい先輩になっていました。
NGT48という場所が、これからも若い女の子たちにとって、自分の可能性を信じられる場所であってほしい。そして、悩みながらも一歩踏み出した先で、新しい夢や目標に出会い、自分自身の未来を大きく変えていける場所であってほしいと思います。
それぞれの挑戦や経験が、いつか必ず自信や糧になっていく。そんな姿を、これからもたくさん見られるグループであってほしいです。
そして私自身も、喜多さんの挑戦する姿からたくさんの勇気をもらいました。その姿勢に刺激を受けながら、これからも前へ進んでいきたいと思います。
喜多花恵(きたはなえ)
2003年9月9日生まれ、神奈川県出身。22歳。
2022年6月、NGT48の3期生としてデビュー。8月18日に研究生から正規メンバーへの昇格が発表され、12月14日の昇格セレモニーにて正式に正規メンバーとなる。新潟を拠点に劇場公演やメディア出演など幅広く活動中。
東京マラソン2026:6時間2分13秒(完走)
特技:円周率100桁暗唱、そろばん、シャトルラン、けん玉